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大阪府 I様からご依頼いただいた Santoniのスニーカー 加水分解したため オールソール交換修理しました

1. 診断:沈黙した名作の叫び

塩ビ系ソールの「宿命」と格闘

お預かりした際、ソールの状態は非常に深刻でした。スニーカーのソールによく用いられる塩ビ(PVC)系素材は、一見すると頑丈ですが、歳月の経過とともに加水分解や硬化を引き起こします。

I様のサントーニも、経年劣化によって素材の柔軟性が完全に失われていました。一歩踏み出すたびに「ピキッ」と音を立てて亀裂が走り、最終的にはソールが真っ二つに割れてしまう――。これでは、サントーニ特有の軽快な歩行は望めません。

過去の修理跡という「課題」

さらに、ヒール部分を確認すると、過去に他店で施されたと思われる補修の形跡がありました。既存のソールの上に無理やり取り付けられた「トップ」は、本来のシルエットを崩してしまっているだけでなく、接合面が不安定で、歩行時のバランスを損なう原因にもなり得ます。

私たちは、単に表面を繕うのではなく、**「本来あるべき姿、あるいはそれ以上の完成度」**を目指して、土台からの再構築を決定しました。


2. カウンセリング:お客様の「理想」を形に

修理において最も重要なのは、技術よりもまず**「対話」**です。 I様がこの靴に何を求めていらっしゃるのか。オリジナルの再現か、それとも現代的なアップデートか。

しっかりとしたヒアリングの結果、導き出した答えは**「重厚感と実用性の融合」**でした。 「スニーカーの軽快さは残しつつ、革靴のような風格と、どこまでも歩いていける信頼感が欲しい」 その想いに応えるため、私たちは世界最高峰のソールメーカー、イタリア・Vibram(ヴィブラム)社のラインナップから、一つの最適解を選び出しました。


3. 施術:Vibram 063による「転生」

Vibram 063(ETNA)の選択

今回採用したのは、Vibram 063。通称「ETNA(エトナ)」と呼ばれるこのソールは、セパレートタイプのヒールを備えたユニットソールです。

  • 重厚なルックス: スニーカーでありながら、ドレスシューズのような「カカト」の立ち上がりを演出。

  • 圧倒的なグリップ: Vibram社が誇る高密度なゴム質が、地面を確実にキャッチします。

  • 耐久性: 摩耗に強く、加水分解の心配もほとんどありません。

職人の手仕事:ミリ単位のフィッティング

サントーニのアッパーは非常に繊細です。古いソールを剥がす際は、革を傷つけないよう熱をコントロールしながら慎重に行います。

次に、Vibram 063をアッパーの形状に合わせて加工します。既製品をそのまま貼るだけでは、サントーニらしい色気のある流線型は生まれません。専用のグラインダーでコンマ数ミリずつ削り込み、アッパーとソールが一体化して見えるよう、コバ(側面)の角度を調整していきます。

特にこだわったのは、ヒール部分の立ち上がりです。他店での修理跡をきれいに除去した上で、063のヒールが持つボリュームを活かし、**「力強く、かつエレガントなバックスタイル」**を創り上げました。


4. 結び:蘇ったサントーニと、これからの物語

完成した一足は、元の「割れてしまったスニーカー」の面影を感じさせないほど、堂々とした風格を纏っています。 アッパーの美しいレザーと、Vibram 063のタフな質感が融合したその姿は、いわば**「サントーニ・ハイブリッド・カスタム」**。

I様、これでまた何年も、何kmも、この靴と共に歩んでいただけます。 加水分解に怯える日々は終わり、これからはVibramの確かな踏み心地が、I様の日常を支えることでしょう。

靴修理は、人生を修理すること

私たち「」は、ただ靴を直す場所ではありません。 お客様が大切にされてきた時間、そしてこれから歩む未来を、確かな技術でサポートするパートナーでありたいと考えています。

  • 他店で断られた特殊なソール

  • お気に入りの靴のカスタマイズ

  • もう履けないと諦めていた古い靴

どんなお悩みでも、まずは一度ご相談ください。大阪の職人が、一針一魂、一削入魂の精神で、あなたの大切な一足を蘇らせます。

皆様の「お気に入り」にお会いできる日を、心よりお待ちしております。

2026.02.19